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院長ブログ更新しました。『令和5年12月、神田神保町《揚子江菜館》と《ミロンガ》』(2023年12月31日

~【揚子江菜館とミロンガ】~
令和5年12月2日(土)
札幌の南 邦弘さんから電話がありました。
何かの学会があり『上京するから明日午後2時に《ミロンガ》に来い』という内容でした。

令和5年12月3日(日)
午前の外来を済ませ当院を出ました。
地下鉄内において携帯電話が鳴りました。南さんから。
『ミロンガは工事中だからお茶の水駅前にする』ということでした。

駅前に到着すると、名須川 捷平さんもいました。
50年近く前、井上眼科はすでにビルになっていたかも知れませんが、
瀬川小児科は古い建物と前にヒマラヤ杉が植えてあった記憶があります。
それが、今では大きなビルになり、1階に書店が入店していて、
前の広場にはマーケットがあるいつも通りの風景でした。
しかし駅側の飲食店は多く閉店していました。
新型コロナウィルス感染症のためなのでしょう。

聖橋口側の信号を渡り、かつて日立の本社のあった場所に大きなビルが建っていました。
入口にエビスビールの店がありましたが満席。
緩い坂を下り小川町さらに右に曲がり駿河台下、
そしてすずらん通りに入り《揚子江菜館》に到着しました。

午後3時、閉めていることが多いのに、この店はいつも開いています。
焼売2皿、酢豚、冷し中華各1皿、それに生ビール。
3等分して食しました。
お腹一杯。

コーヒーを飲もうとお茶の水駅側に向いました。
すぐ《ミロンガヌオーバ》がありました。
《ミロンガ》の前にある《ラドリオ》の一部と思われる、かつてあった空店舗でした。
入店すると若い女性が目立ちました。
傘寿を迎えた男子3人は、ややふさわしくありません。
美味しいコーヒーを飲み談話。
特別な話はありません。

タンゴを聞きはじめたのは、学校の成績が芳しくなかったからです。
"思うようにならない、うまくいかない"..."beaten"という感情がよく表現された楽曲がタンゴだと思います。
そしていつの間にか《ミロンガ》に通うようになってしまいました。

《日本読書新聞社》の高岡 武志さんと、この店にて知りあいました。
毎週末、刷りたての同紙を手渡され、思想、文学について解説していただきました。
右も左も判らない者を、見当がつくくらいにしてくれました。
"学徒出陣者の誠実主義"は打破しなければいけないという発言がありました。

《島尾 敏雄さん》が《小川 国夫さん》を世に紹介したと聞きます。
単車に乗って地中海沿岸を旅する小川さんの初期3部作には感銘を受けました。
島尾さんの戦記もの、恐妻ものも読みました。
亀有に住んでいたようでした。
『なぜ』と考えたところ、常磐線の先の福島が出身地であることを知りました。
《磯田 光一さん》の『殉教の美学』を読むと、この人も亀有に過ごしていたことを知りました。

近くの青戸病院に勤務していましたが、京成電車を利用していたので亀有は知りません。
北千住から2つ目の駅です。
暮らしやすい所なのでしょう。

テレビによると、亀有は漫画の町だといいます。
文学者が居たということは余り知られていない気がします。
《庄野 潤三さん》の大陸の紀行文がいい文章だった記憶があります。
《伊達 得夫さん》の復刻版の《ユリイカ抄》に、
三省堂の裏口から、この前の路地を書いた文がありましたが、泣かせる文章でした。

夏だったと思います。
岩手雫石の上空において全日空機と自衛隊機の衝突事故があったことを、
この店を出るとき知りました。

アルゼンチンということから、ブエノスアイレスから旧ナチスの残党の《アイヒマン氏》が見つかったこと、札幌オリンピック出場の同国の選手が"エッジのないスキー板を履いていた"とスポーツ紙に載っていたと、中学からの友人 神原 秀興さんが教えてくれたことなど想い出します。

尤もらしい、大袈裟な、暗い、重いタンゴが前の店には流れていました。
新しい店は通りに面していて入り易いのでしょう、
明るく人の回転も良く、若い女性が多く集まる店になっていました。

店を出るときレコードジャケットに《フリオ・デ・カロ》とありました。
かけ替えない同じレコードが廻っていました。
ある意味、神保町を代表する店になるなと感じました。

研修医土曜の当直明け、日曜の朝。
都電に乗り神保町に出ました。
午前11時、開いたばかりの古書店を2-3軒のぞき、
開店したばかりの《揚子江菜館》に入り、五目焼そばを注文し食べました。
帰宅してからビールを飲み眠った記憶があります。

医学校に入学できず浪人している子供と一緒に同菜館に入り、
チャーシュー麺を食べたことがありました。
その後、医大のアイスホッケー部に入り、急に無性にラーメンを食べたくなり、軽井沢の移転前の湯川に面した《四川亭》に行ったと話してくれました。
あのとき食した麺を強く記憶しているのではないかと私は考えました。

何かの拍子に『ミロンガ センチメンタール』という女性の歌手の唄声が聞こえてきます。
《ミロンガ》はもちろん、神田神保町も《揚子江菜館》も、"センチメンタール"なのだと思えてきました。

神保町駅から東武線直通、南栗橋行の電車に乗り帰院することができました。

 

【参考サイト】

揚子江菜館

ミロンガ

ミロンガヌオーバ

ラドリオ

日本読書新聞社

島尾 敏雄氏

小川 国夫氏

磯田 光一氏『殉教の美学』

庄野 潤二氏

庄野 潤二氏の大陸の紀行文

伊達 得夫氏の復刻版《ユリイカ抄》

アイヒマン氏

フリオ・デ・カロ

四川亭(軽井沢)

ミロンガ センチメンタール

 

令和5年12月31日(日)記
川間太田産婦人科医院
院長 太田 八千穂

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