令和6年2月、燕山荘の演奏会と上高地帝国ホテルのこと
~【燕山荘の演奏会】~
今月はじめ《指揮者 小澤 征爾さん》が死亡したことを知りました。
《齋藤 秀雄さん》に指揮の基礎を学び、その関係によりオーケストラを結成し、長野松本市において活動したと聞きます。
少し前、NHK小さな旅にその楽団員たちが《燕山荘》において演奏する様子が放映されました。
私は音楽について詳しくはありませんが、聞こえてきた音色により崇高な気持になっていることに気付きました。
それが何から来ているか考えていました。
中学2年の7月20日過ぎの日の早朝、同山荘の前に一面の雲海を見ました。
黙って見ていました。
この楽団員たちも《中房温泉》から楽器を背負い登っている様子が写っていました。
北アルプスの一角、燕岳に一番容易く登れる道です。
~【上高地帝国ホテルのこと】~
新聞の一面を使った旅行会社の広告を毎日のように見かけます。
国内より海外のものの方が多いと思われます。
国内のうち《上高地帝国ホテル》に宿泊する記事を注意して見ていました。
それは2つの理由があります。
先ず、両親が俳優、兄弟も同業、間の娘さんがドラマの裏方をしている一家を知りました。
母親と弟がこのホテルを利用する様子を民間テレビの旅番組が伝えていたからです。
間もなく母親がガンにより亡くなりました。
10年ほど前、一人の青年が来て『映画、ドラマなどの撮影に当院を使わせてくれ』と言ってきました。
何件もの撮影があったなかに彼女がいました。
撮影場所は手術室、病室、外来、廊下と様々でした。
彼女はなぜか隣の建物を是非見せて欲しいと言いました。
土地のみの販売がなかった時代、建物付ということからレストランを開店し、10年して閉めました。
その建物を撮影に使いたいということでした。
中は物置、同行者から『彼女は映画を良く勉強している』と聞きました。
近々、映画監督として名を聞くようになる気がしました。
2つ目は、よく行く会津高原高杖原の《ペンションロマネスク》のオーナー夫妻が《東京帝国ホテル》の出身だからです。
初めての東京オリンピック開催にあたり人が大量に採用されたと聞きます。
主人は《村上 信夫シェフ》の指導を受け、店に同氏の署名がある額が掲げられています。
奥さんはホール係だったのでしょう。上高地のホテルに派遣されたといいます。
季節、回数など詳しいことを聞いていません。
大きな薪ストーブの話を聞きました。
何か思い入れがあるのでしょう。
小型ではあるものの傘状、ドーム状の金属が付いています。
息子さんがよく火を入れてくれますが、その前に座って時間を過ごしたことはありません。
上高地には何回かいっていますが、ホテルには前を通るのみです。
この広告を見ると、その母子の様子、見たことのない薪ストーブのことが思い浮かびます。
その後、同ホテルについての映像は見ていません。
《会津大内宿》からタクシーに乗ったとき、
やや年のいった運転手に『湯野上温泉の一番いい宿はどこですか?』と尋ねると、
『う~ん』と言ってやや間があり、
『寝てしまえばどこだって同じだ』という返事がありました。
これ程の名言はありません。
重い天幕を背負い、場所を変えて幕営し食事を作り寝袋に入り眠ったこと。
人の作ってくれた食事ほど有難いものはないこと。
雪山の天幕の中、頭のあたりが雪に圧されて狭くなったこと。
手足を伸ばしてふとんに横になれることも有難いことです。
軽井沢東雲あたりにできた新しいホテルがテレビにより紹介されていました。
元プロサッカー選手が出演していました。
贅を尽くした食事、温泉付きの部屋、驚くほどの高料金が示されていました。
私はどこか違うと思いました。
高杖原のペンションの宿泊カードに、来店した動機に”静養”という文字をみつけ、私は印を付けました。
《帝国ホテル》に元々ある字なのか、ペンションの主人が考えて表示したものなのかと考えました。
《上高地帝国ホテル》は日本の最も歴史、伝統、格式のあるリゾートホテルと考えます。
泊ったことはありませんが恐らくどこか質素な落着いた品格が感じられる佇まいがあると思います。
”静養”という表現が一番適している気がしてなりません。
20代に入り、医大の山行として、
3月《釜トンネル》から入山し、《田代池》のあたりにおいて、
突然朝日に輝く《穂高岳》を仰ぎ見たこと。
5月《白馬主稜》を登り、山頂からの《立山、剱岳》の姿、
秋《塩見岳》と《会津磐梯山》それぞれの山頂において見た《ブロッケン》、
同じ秋《仙丈岳》からの大きな《間岳》。
これらの山行はあの山荘前の雲海から始っています。
私と同じ年齢の人が、定年後、高杖原に丸太小屋を建てました。
何回か伺いました。
冬の夕暮、雪のなだらかな会津駒ヶ岳の山容を眺めながらスコッチウイスキーを口にしている様子を想像しただけで涙が出てきてしまいます。
今は山には登りません。
山が望める原っぱに過ごす時間を大切にしています。
【参考サイト】
■指揮者 小澤 征爾さん
■齋藤 秀雄さん
■燕山荘
■中房温泉
■上高地帝国ホテル
■ペンションロマネスク
■東京帝国ホテル
■村上 信夫シェフ
■釜トンネル
■田代池
■穂高岳
■白馬主稜
■立山
■剱岳
■塩見岳
■会津磐梯山
■ブロッケン
■仙丈岳
令和6年2月29日(木)記
川間太田産婦人科医院
院長 太田 八千穂
- 月別のアーカイブ
- 2024年3月 (1)
- 2024年2月 (1)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (1)
- 2023年11月 (1)
- 2023年10月 (1)
- 2023年9月 (1)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (1)
- 2023年6月 (1)
- 2023年5月 (1)
- 2023年4月 (1)
- 2023年3月 (1)
- 2023年2月 (1)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (1)
- 2022年11月 (1)
- 2022年10月 (1)
- 2022年9月 (1)
- 2022年8月 (1)
- 2022年7月 (1)
- 2022年6月 (1)
- 2022年5月 (1)
- 2022年4月 (1)
- 2022年3月 (1)
- 2022年2月 (1)
- 2022年1月 (1)
- 2021年12月 (1)
- 2021年11月 (1)
- 2021年10月 (1)
- 2021年9月 (1)
- 2021年8月 (1)
- 2021年7月 (1)
- 2021年6月 (1)
- 2021年5月 (1)
- 2021年4月 (1)
- 2021年3月 (1)
- 2021年2月 (1)
- 2021年1月 (1)
- 2020年12月 (1)
- 2020年11月 (1)
- 2020年10月 (1)
- 2020年9月 (1)
- 2020年8月 (1)
- 2020年7月 (1)
- 2020年6月 (1)
- 2020年5月 (1)
- 2020年4月 (1)
- 2020年3月 (1)
- 2020年2月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (1)
- 2019年11月 (1)
- 2019年10月 (1)
- 2019年9月 (1)
- 2019年8月 (1)
- 2019年7月 (1)
- 2019年6月 (1)
- 2019年5月 (1)
- 2019年4月 (1)
- 2019年3月 (1)
- 2019年2月 (1)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (1)
- 2018年11月 (1)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (1)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (1)
- 2018年6月 (1)
- 2018年5月 (1)
- 2018年4月 (1)
- 2018年3月 (1)
- 2018年2月 (1)
- 2018年1月 (2)
- 2017年12月 (1)
- 2017年11月 (1)
- 2017年10月 (1)
- 2017年9月 (1)
- 2017年8月 (1)
- 2017年7月 (1)
- 2017年6月 (1)
- 2017年5月 (1)
- 2017年4月 (1)
- 2017年3月 (1)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (1)
- 2016年12月 (1)
- 2016年11月 (1)
- 2016年10月 (1)
- 2016年9月 (1)
- 2016年8月 (1)
- 2016年7月 (1)
- 2016年6月 (1)
- 2016年5月 (1)
- 2016年4月 (1)
- 2016年3月 (1)
- 2016年2月 (1)
- 2016年1月 (2)
- 2015年12月 (1)
- 2015年11月 (1)
- 2015年10月 (1)
- 2015年9月 (1)
- 2015年8月 (1)
- 2015年7月 (1)
- 2015年6月 (1)
- 2015年5月 (1)
- 2015年4月 (1)
- 2015年3月 (1)
- 2015年2月 (2)
- 2015年1月 (2)
- 2014年12月 (2)
- 2014年11月 (1)
- 2014年10月 (1)
- 2014年9月 (1)
- 2014年8月 (1)
- 2014年7月 (1)
- 2014年6月 (1)
- 2014年5月 (1)
- 2014年4月 (1)
- 2014年3月 (1)
- 2014年2月 (1)
- 2014年1月 (3)
- 2013年11月 (1)
- 2013年9月 (1)
- 2013年8月 (1)
- 2013年7月 (1)
- 2013年6月 (1)
- 2013年5月 (1)
- 2013年4月 (1)
- 2013年3月 (1)
- 2013年2月 (1)
- 2012年12月 (1)
- 2012年8月 (1)
- 2012年5月 (1)
- 2011年7月 (1)
- 2011年5月 (1)
- 2011年4月 (11)