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お腹を切らない「膣式手術」の特徴

子宮筋腫の手術というと、日本では腹式手術が一般的です。しかし傷が残ってしまうということで、手術に踏み込めない人も多いようです。そこで「お腹を切らずに行う腟式手術」が認知されるようになりました。

腹式手術と膣式手術の違い

ひとことで言うと、お腹を「切る」か「切らない」かというところが異なります。
以下に簡単ではありますが、その違いをまとめてみましたのでご覧ください。

  腹式手術 腟式手術
特徴 大きな筋腫が摘出できる お腹に傷が残らない
手術時間 30分~1時間 30分~1時間
入院期間 10日~2週間程 10日間程
職場復帰までの日数 約1ヶ月(歩くのに4~5日) 数日(翌日から出勤も可)
手術後の様態 痛くて歩けない下腹部が痛むときがある 皮膚を切らないため痛みは軽度
合併症が見つかった時 癒着があっても目に見えるため安全 癒着がひどいと対応が難しい場合がある
その他 無理な動きはケロイド状の傷あとの原因となります。 握りこぶし大の筋腫に対応

※ご注意:
●筋腫が大きくなってしまった場合は、開腹手術をせざるを得ません。お体や精神的な影響を考えると、トラブルになる前の早期治療をお勧め致します。
●子宮全摘手術を行った場合には、腹式・腟式に関わらず手術後の制限がございます。詳しくは医師や看護師にお尋ねください。

子宮脱とは子宮を支える骨盤内の筋肉や靭帯が緩むことから起きる症状です。特に40歳代後半から60歳代に多く見られます。中でも出産回数の多い女性や、長時間にわたる立ち仕事、下腹部に力の入る仕事に携わっている女性がなりやすい病気です。

子宮が下がる際に、前後にある膀胱と直腸を引き連れて下がってくることがあり、それぞれ膀胱脱、直腸脱、小腸脱と呼びます。

膣式手術の特徴とそのメリット

お産のように腟からアプローチして筋腫を切除するため、開腹手術と比較して患者さんの苦痛や負担が少ないのが特徴です。

・小さな穴をひとつも開けることがなく、体に傷が残らない。
・従来の腹式手術と比べると体への負担を大幅に低減させます。
・術後の回復が良好で、退院した翌日から職場復帰する人もいる。

※医療の先進国アメリカでは最も一般的な手術法となっており、日本にも浸透して来ています。

膣式手術の方法

日本で行われている膣式手術の方法をご紹介します。

1)
腟から子宮頸部の周りに切れ目を入れ引き出す  
2)
子宮を支える靭帯を下から切る
3)
子宮を回しながら取り出す
4)
取り出した部分を縫い合わせる

当院が行っている腟式手術法「三回結紮子宮摘出術」についてその特徴や利点などはこちらからご覧いただけます。