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子宮内膜症について

婦人病のなかでも最も多くの方にみられる病気です。

子宮内膜症とはどんな病気?

子宮内膜症イメージ

子宮内膜症とは、本来なら子宮の内側にあるべき内膜組織が、子宮の外側や周辺の臓器に発生してしまう病気です。

子宮の内膜は卵巣から分泌される女性ホルモンによって厚くなり、一定の周期で増殖と剥離を繰り返します。ここは赤ちゃんのベッドに相当する場所なので、妊娠しなければ剥離したものは月経となって腟から外へ出されます 。

しかし、子宮のように出口がないため、剥離した細胞はその周囲に固まりとなって血腫を作ったり、融合たり周辺組織と癒着したりするのです。

子宮内膜症の発生する場所

よくできる部位は、卵巣、卵管、子宮筋層、直腸やダグラス窩(か)などです。卵巣で発生したものは月経がたまって、あたかもチョコレートをゴム袋に入れたように見えるところから「チョコレート嚢腫」と呼ばれるものや、腹腔(ふくこう)内に無数の斑点状になる「ブルーベリースポット」という特徴的な病巣が見られるようになります。(※チョコレート嚢腫は内膜症患者の約50%に見られます)

また内膜症は骨盤内だけでなく、手足、おへそ、腎臓、肺、手術後の傷など、いろいろな部位に出来るため、症状も様々となります。

内膜症には、どんな症状があるの?

子宮内膜症になると、月経痛をはじめ、下腹部痛、性交痛、腰痛など様々な症状が現れます。病巣の組織自体は良性なので、命に関わることはありません。しかし放っておくと症状はひどくなり不妊症の原因にもなりかねません。出産を希望されている方は特に、定期検診をお勧め致します。以下の点が見られる方は、お早めに受診下さい。

・月経痛がひどく、生活や仕事に支障をきたす程である。
・月経痛がひどく、市販の鎮痛剤が効かない。
・昔はなかった月経痛が、だんだんひどくなってきている。
・月経の前や直後に下腹部が痛む。
・月経にともなう吐き気や嘔吐、腰痛、排便痛などがある。
・月経が長くなかなか終わらない。(通常は3~5日)
・性交のときや、その後に、痛みがある。
・貧血気味である。
・1年以上、妊娠の努力はしているが、妊娠しない。
・2度以上の流産の経験がある。

内膜症の診察方法は?

双合診

医師が薄い手術用の手袋をつけ、片方の指を膣内に、もう片方の指をお腹において、両方の手指ではさんで診察します。子宮や卵巣、膣などについて、腫れや硬さ、弾力などを調べます。

超音波検査(エコー)

妊婦が胎児の大きさをみるときに使っているものと同じです。超音波をあて、おなかの中の画像を取る方法と、腟の中に器具を入れて、体の中から直接写す(腟エコー)方法があります。腟エコーのほうが綺麗な画像が取れるため、優れていると言えます。(筋腫と同じ方法)

MRI(磁気共鳴画像装置)検査

放射線を使わずに、あらゆる角度から体の中の画像を見ることができます。これは内膜症だけでなく、様々な合併症や新たな病気の発見などにも役立ちます。(筋腫と同じ方法)

内膜症の治療方法は?

注射やホルモン剤を鼻から注入

鼻薬のホルモン剤を使って半年ほど月経を止めることによって、子宮内膜の増殖や出血も止まり、症状が改善されます。

腹腔鏡直視下手術

おへその近くに小さな穴をあけて、レーザや高周波で癒着を剥がします。
傷跡も小さく、患者さんへの負担も少なくてすみます。

腟式子宮摘出手術

あまりにもひどくなったものは、子宮を摘出することによって病巣を根元からなくします。

注意事項・その他

・ 検査の当日は食事を控え、排便や排尿を済ませておいて下さい。
・ 緊張すると体が硬直し、余計な痛みを感じてしまうため、リラックスして望みましょう。